羽化
日記1
『5月20日(晴れ)』
やあやあ。
えーと、どうも。由加里です!
今日から交換日記です。
貴司さま、どうぞよろしく。
自分でいっといてヘンだけど、かたひじはらずってなかなか難しいね。
でもなんとか気楽に書くから貴司もそうしてね。
それでは、今日あったことを報告します。
今日わたしは、とても大変でしたよ。
なにが大変だったって、誰かさんがしてくれたいつもの後始末で、です。
(自分でわかってる~?)
新卒で入ってきた、吉田(あの、新人歓迎会のときに、一番最初にはりきって自己紹介してた子ね)、あの子なんかは、もうあんたのこと、そうとう目のカタキにしていて、貴司の今年のミスの回数まで覚えちゃってるくらいなんだから。
でもその子、あいきょうあってね、あんたのこと、心配してくれてたんだよ。
「自分の責任じゃないヘマを自分のものみたいにさせられるのは、納得できない」っていって。
課長さんのいってること、ほいほい聞いてちゃダメだよ?
あんた間違いわかってるんだったら、それ言ったげなきゃ。
お互いのためにならないもんね。
まぁ、わたしも人のことえらそうにいえるほど、立派じゃないんだけどね。