羽化
3
「私が思うにですね、やっぱ内助の功なわけなんですよぉ」
「ハイハイ」
「ですからぁ、吉水さんは悪くないんです」
「そうそう、俺もそう思うぞヨシコ」
「でも、石野さんが悪いんでもないんですぅ」
「へいへい」
「定元さん、まだまだ私、頑張りますからねぇ」
「うんうん、俺もがんばるぜぇヨシコ」
「聞いてますかぁ?」
「聞いてる聞いてる」
吉田は酔っぱらっていた。
わたしも酔っぱらっていた。
ついでに定元君は出来上がっていた。
「あいせんせー生中ひとつー!」
そして和美は吐いてきたばかりなのにまだ元気だった。
わたしの隣で飲んでいる貴司は、のんきにアハハと笑って、
「面白いなぁ、由加里ちゃんの後輩さん」
と、グラス片手に赤ら顔。
いきいきフライデイ。
今日は金曜日で仕事が終われば翌日はお休みだから、今はいわゆるひとつの飲み会なのでした。
メンバーは後輩の吉田佳子《よしだかこ》、同期の中川和美《なかがわかずみ》、同じく同期で営業課の定元実《さだもとみのる》、そしてわたしと、それからなんでか監理課の吉水貴司。