羽化

「私が思うにですね、やっぱ内助の功なわけなんですよぉ」

「ハイハイ」

「ですからぁ、吉水さんは悪くないんです」

「そうそう、俺もそう思うぞヨシコ」

「でも、石野さんが悪いんでもないんですぅ」

「へいへい」

「定元さん、まだまだ私、頑張りますからねぇ」

「うんうん、俺もがんばるぜぇヨシコ」

「聞いてますかぁ?」

「聞いてる聞いてる」

吉田は酔っぱらっていた。

わたしも酔っぱらっていた。

ついでに定元君は出来上がっていた。

「あいせんせー生中ひとつー!」

そして和美は吐いてきたばかりなのにまだ元気だった。

わたしの隣で飲んでいる貴司は、のんきにアハハと笑って、

「面白いなぁ、由加里ちゃんの後輩さん」

と、グラス片手に赤ら顔。


いきいきフライデイ。

今日は金曜日で仕事が終われば翌日はお休みだから、今はいわゆるひとつの飲み会なのでした。

メンバーは後輩の吉田佳子《よしだかこ》、同期の中川和美《なかがわかずみ》、同じく同期で営業課の定元実《さだもとみのる》、そしてわたしと、それからなんでか監理課の吉水貴司。

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