羽化

「なにが嘘なのよ」

わたしが言うと、吉田は少し黙ってから、ゆっくり言った。

『吉水さんから、はなし聞きました』

わたしはその意味を大して考えず、

「……そうですか……」

と応えた。

すると、吉田はまた怒った調子になって、

『私、吉水さんに、告白されました』

と、拍子抜けするようなことを言った。


……は……は……?


……ああ、なるほど……。


それはあまりにもわかりやすい答えで、あんまりにも可笑しかった。

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