【短編】6.3%
塩分
もともと、こいつとはアホみたいに気が合っていた。好きなバンドとか、好きな動物がナマケモノなところとか、ラーメンは、味噌派なところとか。
アホみたいに気が合って、アホみたいな話をして、アホだなあって笑い合える私たちだった。
だから、というべきか。息ぴったりのタイミングで、失恋までしてしまった。
こんなの、笑うしかないじゃないか。
「……泣くなよ、お前、うつるから」
「泣いてなんかないし、知らんふりしてよ」
「そんな震えた声で言われて、無視なんてできるかよ」
「じゃあ聞かないでよ」
「無理だろそんなの。自分の声、聞いてるようなもんなのに」
同じ傷を負った。同じだけスープを濃くして、同じ量の塩を傷口に塗った。
私の感情を世界で一番知っているのはこいつだし、私もこいつの今の気持ちだけは、嫌ってほど理解できてしまう。
他人事じゃないから。自分のことと、同義だから。
「……ほんとお前、ぶっさいくだなあ」
アホみたいに気が合って、アホみたいな話をして、アホだなあって笑い合える私たちだった。
だから、というべきか。息ぴったりのタイミングで、失恋までしてしまった。
こんなの、笑うしかないじゃないか。
「……泣くなよ、お前、うつるから」
「泣いてなんかないし、知らんふりしてよ」
「そんな震えた声で言われて、無視なんてできるかよ」
「じゃあ聞かないでよ」
「無理だろそんなの。自分の声、聞いてるようなもんなのに」
同じ傷を負った。同じだけスープを濃くして、同じ量の塩を傷口に塗った。
私の感情を世界で一番知っているのはこいつだし、私もこいつの今の気持ちだけは、嫌ってほど理解できてしまう。
他人事じゃないから。自分のことと、同義だから。
「……ほんとお前、ぶっさいくだなあ」