恋させた君
1章

年下男子

私、葉月杏奈(ハヅキアンナ)の高校生活最後の文化祭まで、残り一ヶ月ちょっと。


この時期になると毎年、カップルが増えるけど私には無縁の話。


だって私「恋」がどういうものか分からないんだもん。


そりゃ中学の時に告られて、付き合った経験はあったよ。


でも、それは相手に失礼だけど何となく。


告られたから、まぁいっかー、みたいな軽い感じで?


結局は何ヶ月かしたあと、私が振っちゃうんだけどね


余計な話にずれちゃったね。


とりあえず私のことは置いといて、文化祭の話に戻ると。


夏休み前にクラスで喫茶をやることは決まったけど、何をコンセプトにしていいのか決まらず。


今日はクラスの実行委員が夏休みなのに学校に来て、話し合いをする事になっちゃったの。


夏休みなのにだよ⁉︎


家でやりたい事あったのにな〜


それに文化祭なんて、特に興味ないからなんでもいいんだけどね。


実行委員だって人がいないからなっただけだし。


でもそんな事いったら実行委員長で幼馴染の小田春樹(オダハルキ)に怒られそうだから言わないけど。


春樹とは家が隣同士って事で、小さいときから知ってるけど、なんだか年々カッコよくなっているような気がする。


昔もまぁまぁカッコよかったけどさ、今じゃ、生徒会副会長だし。


生徒会入ってるだけで大変なのに、よく実行委員長になったなぁ、って感心しちゃう。


でも、喫茶店のコンセプトの意見はまとまらなくて予定より一時間早く終わっちゃった。


スマホを取り出すと、時間は十一時。


「次の電車まで時間あるから、どうしよっかな……」


あと三十分ぐらい時間があるから、ゆっくり駅まで向かおうかなぁ、と立ち上がって教室から廊下に出ようとしたら。

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