【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
これで、おしまいなのか…?
いや。
絶対にそんなことはさせない。
必ず、俺の腕の中へ取り戻してみせる。
なのに、翌日。
彼女は震える手を抑え込んで、白い封筒を差し出してきた。
心の中でチリチリとした炎が燃え上がっていくのを感じた。
一年も前の…それも自分を傷付けたヤツの亡霊に、未だ取り憑かれていることに。
そして、その相手の影に…。
どうしようもなく、腹が立った。
俺はこんなにも独占欲が強い人間だったのか…と思い知る。
彼女の存在は何時だって、俺さえも知らない俺の内側の扉を、いとも簡単に開いてしまう。
「参ったな…」
俺は溜息を吐いて、ゴミ箱の中の自分で破り捨てた封筒を眺めた。