【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
こういう時にどうすればいいのかなんて、そんな回答が容易く出てくるはずがなかった。
何故ならば、今までの自分にはない感情ばかりだからだ。
今まで俺を素通りして行った女たちの、顔も名前も肌の温度さえも…俺には無意味なものでしかなく、彼女との未来を構築させる自信には繋がらなかった。
そんな物思いに耽っていると、執務室から内線が入る。
何時もならば、傍のデスクで仕事をさせるのに、と少し不満に思い素っ気なく受話器を取ると慌てた様子の彼女の声。
何やら名前も言わない人物からの入電らしかった。
それでも、俺にはすぐにピンと来たから、そのまま通してくれと言った。
ぷつん、
と電話が切り替わる音と共に、マシンガンのような声。