【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
「…チッ!」
自分の行動一つ一つの浅はかさに腹が立つ。
早く見つけて、この腕に抱きたい。
今度こそ、俺のものにして、離しはしない。
それでもし…罰が下るのならば、それこそ本望だった。
なす術がなく、苛立つ心を抑えながら、彼女のマンションの前に車を停めてかれこれ一時間…。
何を言って、どうしたら引き止められるのか。
割かれてしまった距離をどう修復させたらいいのか…。
そればかりが浮かんでは消えるけれど、それでも良い解決策なんて、一つも出て来やしない。
「あぁ…どうしろっていうんだ、一体…」
柄にもなく弱音を吐いた。
俺にはない、繊細な心を持つ彼女。
だからこそ、可愛くて、愛しくて堪らないのに…。
今はこの胸の中にいない。
それが、とても歯痒くて…少しだけ泣きたくなった。