【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
悪女、上等 side:要人
彼女の意識の限界まで抱き潰して、我に返って少し可笑しくなった。
思春期真っ只中のガキでもあるまいし…がっ付き過ぎだろう、いくらなんでも。
でも、今すぐにこの手の中で乱れる彼女が欲しかった。
余裕?
そんなもの、彼女に恋した瞬間から一ミリだって存在しない。
大人気ないとは思ってはいても、理性なんて無意識で飛ぶくらい、彼女を愛したくて愛したくて仕方がなかった。
あんな風に一人で泣かれるなんて、もう真っ平だった。
「…忍。大丈夫か…?」
「大丈夫…なんかじゃ、ない…です」
泣かせ過ぎて嗄れてしまった彼女の声は、酷くセクシーでゾクゾクした。
もう一度キツく抱いてしまいそうで、俺は彼女の額にキスを落とす。
それから、冷蔵庫を開ける許可を取り、其処から一本のミネラルウォーターのボトルを取り出した。