【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
「水…飲めるか?」
その問いに、黙って素直にコクリと頷く彼女。
俺はそれに微笑みを返して、ぐいっと自分で呷る。
そして、それをそのまま彼女に口移しで飲ませると、彼女は真っ赤になって抗議してきた。
「…っ。か、要人さん!」
「くっくっ…良かったな、声が出るようになって」
穏やかで幸福に満ち溢れた時間。
こんな瞬間が手に入るなんていう幸せを噛み締め、信じられないくらいに彼女に依存していたことに改めて気恥ずかしくなる。
「忍、愛してる…」
「…好きですよ。大好き」
つつ…
ベッドサイドについていて俺の手に、彼女の手が触れる。
そんな些細なことにさえ体が反応してしまう。
「…ったく。そんな誘い方、何処で覚えたんだか」
「…要人さんに、ですよ。要人さんだから…」
その言葉の続きをキスで塞いで、俺はもう一度彼女をこの腕の中に抱き締めた。