【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
「社長。…いい加減に…」
「要人、だって言ってるだろう?もう3年も経つのに、何時になったら、そう呼んでくれるんだ?」
「そんな甘えた声出しても、ムリなものはムリですよ」
そんな会話をする間の近付いてくる形の良い口唇。
このまま流されてもいいものか…?
私は、そう考え、咄嗟に顔を背けた。
それなのに…。
「んんっ…ちょ、どこ、触って…っ!」
まるで最初からそうなる事を想定していたかのように、顔を背けることによって剥き出しになった首筋にキスを落とされ、今日の会議の為に選んで着てきたダークグレーのスーツの腰の辺りから、上の方へさわさわと這い上がってくる腕。
それを身動ぎしてなんとか制した。