【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
そうすると、殆ど体重を掛けずに私の上にいた彼は、そっと私から避けた。
そして、少し曇って半透明になっている窓の外を見つめる。
そこに映る彼は何処かで儚げだった。
かちん
と、ガラス越しに映る彼の視線から、逃れられない。
体の中の血が逆流していくのが分かる。
でも、それの意味に私は知らないフリをした。
騙されてはいけない。
流されてはいけない。
目の前のこの男は…。
私の上司でしかない。
そして、これからもそれ以上にはならない…筈だから。