【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
そんな私の気持ちを知りもせずに、彼はニヤりと笑ってこう言ってくる。
「綾小路…俺的には嬉しいが、その扇情的なポーズ、そろそろ直せよ?今度こそ、襲いかねない」
そう言われて、はたと自分の今の状態を見つめ返す。
何時の間にか、下着が見えるギリギリのライン迄はだけられたブラウスに、太ももがばっちり見えてしまうほど捲り上がったスカート。
私は慌ててそれらを隠すと、キッと彼を見た。
「誰がしたんですか、こんな格好に!」
「あははっ。そうやって感情を出してる方がお前は可愛いよ」
「はっ?!」
彼の傍にいて3年。
こんな風に、感情を揺さぶられるのは初めてだった。
何かが、動く気がする。
だけど。
これから先は未知数。
そんな場所に身を投げるのは正直、怖い。
そして。
さっき私を見つめたあの、訳あり気なガラス越しの視線は…。
憂いを帯びて、儚げな視線の意味は…。
私の中で何か燻る物があった。