【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
「綾小路…」
そう呼び止めれれる度に、何かを失くしていくような気がするんだ。
「はぁ…頑張れ、忍。挫けちゃだめだ…」
ぱしぱし
軽く頬を叩いて、私はもう一度彼のいる部屋へと戻ることにした。
彼の方も、頭を冷やしているだろうと思って。
「さて。まだご機嫌斜めかな?俺の大事な秘書さんは?」
「えぇ。機嫌は最高潮に悪いですよ?だから、さっさと支度して会議室へどうぞ?」
「そんなに怒るなよ。別に大したことじゃないだろう?」
ー子供じゃあるまいし…ー
その言葉に、何故か頬がカッとなる。
かただか7歳年が違うだけの男に良いようにされる程、私だって落ちぶれてはいない。
「子供じゃないですけどね。良識はあるつもりですよ。これでも。要人社長がどうかは知りませんが」