【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
「あぁ、分かった。あとは頼む…俺?俺はこれから重役会議だ。お前にかまかけていられないんだ。今、目の前で自慢の美人秘書がこちらを睨んでいるからいい加減切るぞ?いいな?じゃあ…」
最後の方はいらない情報だと思ったけれど、彼が早々に電話を切り上げてくれたことに安堵する。
「悪いな…さ。じゃあ、行こうか?」
「さり気なく肩に腕回さないで下さいよ」
「ほんと、つれないな、綾小路は」
「それが普通です」
つん、として私は彼を先導するように歩いた。
普通は、社長の前を歩くのもどうかと思われたけれど、
今の状況では、彼の後ろを歩くのは躊躇われた。
…大体、何をされるか分からない…かなりの危機を感じる。
さっきだって、そうだ。
ちょっとした気の緩みを彼は見逃さない。
だから、私の神経は尖る。
削りたての鉛筆の如く。
結局、なんだかんだと言って、迫られそうになるのを幾度となくかわして、私はぐったりしながら会議室になだれ込んだ。
最後の方はいらない情報だと思ったけれど、彼が早々に電話を切り上げてくれたことに安堵する。
「悪いな…さ。じゃあ、行こうか?」
「さり気なく肩に腕回さないで下さいよ」
「ほんと、つれないな、綾小路は」
「それが普通です」
つん、として私は彼を先導するように歩いた。
普通は、社長の前を歩くのもどうかと思われたけれど、
今の状況では、彼の後ろを歩くのは躊躇われた。
…大体、何をされるか分からない…かなりの危機を感じる。
さっきだって、そうだ。
ちょっとした気の緩みを彼は見逃さない。
だから、私の神経は尖る。
削りたての鉛筆の如く。
結局、なんだかんだと言って、迫られそうになるのを幾度となくかわして、私はぐったりしながら会議室になだれ込んだ。