【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
「んんぅ…」
「…甘いな、忍は…」
「もう…お願いします。死んで…」
「そんなこと、まだ言えるのか…仕方がないな」
「も、やめ…っ」
ぎゅうっと、抱き締められ気が遠くなりそうだ。
なんで、こうなったの?
展開が急過ぎて、分からない。
だけど、脳みそが沸騰してしまいそうなくらい、彼からのキスは熱く、じんじんと痺れるくらい甘かった。
「…どう?気分は?」
「…っ!さいっていです!」
なんだか、揺さぶられている心を見透かされたようで、私は、ザッと彼から離れた。
口唇が心とは裏腹に熱を孕む。
それを隠すように手で覆うと、満足げな彼は鼻歌を歌いながら、私を置いて先を歩き出した。
もう、何かなんだか分からないけれど。
何かのスイッチが押され、どこかの歯車が回り出してしまったことを、感じざるを得なかった…。