【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
それだけで、俺は良かった。
あの日のように、温もりのない彼女を目の当たりにすることは、避けたかった。
もう二度と…傷つけたくはない…そう、俺は自身に誓っているから…。
それが、自己満足の感情だとしても…。
仕事柄色々と女性との交流があるけれど、この一年は特に俺の意向を全面に押し出し、女性の秘書は彼女だけだと決めている。
それが、たとえクライアントの気分を害することになっても、そんなのはお構いなしだった。
だってそうもなるだろう?
あの日、ずぶ濡れになって佇んでいた彼女をみて、心に一つの想いが宿ったんだ。
今まで人形のように接してきた女達とは違う彼女の素の姿…。
それにほだされてしまったのかもしれないが…。