【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
彼は、変わった。
そして、私達の関係も……。
こんな私になんの価値があるというの……?
だから、大粒の雨の中で。
溶けて…漂い、消えてなくなりたかった。
だけれど、そんな私を拾ったのは…名前も知らないアナタ。
どこか懐かしい面影と、香りを纏っているのが、何故かとても心地良かった。
少し強引で、それでも優しさを含んだ声と温もり。
アナタは酷く怒っていたような、哀しんでいるような感じだった。
でも、私は失った意識のせいでアナタの顔も上手く思い出せない…。
ただ、普段なら誰にも触れさせない手の平に落とされた、温かなキスの余韻だけが…今もこうして残っているだけで…。
私はアナタに…もう一度出会いたい…。
必ず、会いたい…と願っている。
1年経った、今でも。
ずっと、ずっと……。