【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
解けない魔法の夜。
俺が探しているキミに逢いたくて逢えなくて。

キミの胸に眠る俺の記憶を辿って、この夜を特別なものにしていこう。
必ず俺の元へと落としてみせる。

それは、…あの日から焦がれていた現実。

個室のV.I.Pルームの中で、徐々に詰める距離。


「さぁ、今夜はどんな表情で俺を虜にしてくれるんだ?」

「知りませんよ!もう!離してっ!」

「離すわけないだろう?折角捕まえたんだ。このチャンスを潰す程…俺は甘くもバカでもない」

そう言って、顔を背ける彼女の首筋に口唇を押し当ててから、俺は吐息に近い声で名前を呼んだ。


「忍…こっち向いて…?」

「んもぅ…要人さんのばか」

「もう一度呼んでくれ…」

「……っかなめさん…っ」

「もう一度……」

「か、なめ……」

「ん。忍…良い子だな…もう絶対に離さない…覚悟してくれ」


艶めしい震えた声に、俺は体がぞくりとするのを止められなかった。

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