【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
一年前のあの日…冷たくなっていく身体と上手く回らない思考の中で、死んでしまおうと思っていた。
でもその前に…その時まで信じていた彼と、その彼女のことを心から憎み、なんとか別れさせることが出来ないか…とか、お腹の中の子さえいなくなってしまえば…と、醜い感情を持っていたことに間違いはない。
本当はそんな自分が許せなくて。
辛い辛い恋をした…そんな風に誰からも同情されたくなくて、一人街を彷徨った。
そんな中で、救世主の如く現れたあの人に、私は一瞬にして心を奪われた。
遠のく意識の中…行かないで、と手を伸ばすほど。
だけど、戸惑っていたんだ。
何時かまた出逢う時が来て、私のあのドロドロした部分を掘り下げられることが…。
怒りが収まった後もジクジクと痛んだ胸。
それは、他の誰に対してでもなく自分自身にだった。