【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜


私のそこからの業務は迅速に行われた。


他の部署からの書類、メール等を淡々と片付けて、いくつかの急ぎでない小会議を別日程に変更する。

会食も今夜はスケジュールに偶々入っていなかったから、夜の7時半には社長を見送る手はずを整えた。



仕事量が多ければ多いほど、今の自分には良かった。

気が引き締まり、他の余計なことを考えないで済むから…。

執務室から先へ出向かなければ、自分の心はこれ以上乱されることはないから…。


そこまで思ってから、段々と腹が立ってくる。

なんでこんなに惨めな想いを自分がしなければならないのか。
一時の遊び相手に選ばれただけ。


私だって良い年した大人なんだから流せることじゃないか…何もそんなにムキになって、感情を爆発させて、勝手に拗ねて。

子供みたいな態度を取ってなんの得になる。



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