【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜
「お前が、何をどう勘違いしてるのかは知らないが、俺は…忍、お前を離してやる気はさらさらないからな」

「でも…」

「嫌か?」

「…そんな言い方、狡い……」


ぎゅうっと彼の着ている濃紺のスーツの裾を掴めば、俯いたままの頬を彼の大きな手が撫でて行く。

それにほだされ、彼の方を向くと有無を言わせないというくらいの接吻けを落とされた。

小刻みに角度を変えて、まるで魂さえ翻弄される程の、熱い接吻け……。


「…お前は本当に仔猫みたいだな…」

「……?」

「気まぐれでなかなか懐かなくて…それなのに、何処か危なっかしい。だから余計に庇護欲にかられる」

「そんなこと…」

「そんなことあるから、今こうして俺が此処にいるんだろうが」


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