たとえ届かなくても君を思うほどに切なくて。
そこから、風月は自転車を止めて、校門へと歩き出した。

校門を通り、学校の敷地内に入った。

校庭にも桜に花びらが舞っていた。

さっき通った桜並木と同じように、私の頰を桜の花びらがくすぐった。

「凛、髪に花びらついてる。取ってあげるから、じっとしてて?」

「ん、わかった。」

言われた通りに、じっとしていた。

「よし、もういいよ、それにしても、髪伸びたね」

腰まではいかないけど、髪は伸ばしてるんだ。

「…い、おーい、凛。大丈夫か?」

「うん、平気だよ」

心配してもらうほど、ボケっとしちゃったよ。情けないな。

肩を落として歩いていると、玄関まで来ていた。
短い距離なのに、長く感じた。
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