たとえ、涙が頬を濡らしても。






誰か大切な人からの貰い物かな…?


すっごく大事そう…



『何?』


「いや、大事そうだなーって思ってさ」


『ギター高いからな』


「楽器って値段ピンからキリまでって言うもんねー」



綺麗な黒髪に流した前髪…


少し鬱陶しそうな前髪の隙間から見える優しい目…



『ギターに興味あるの?』


「いや?特には…でも弾けたらかっこいいんだろうねー!」


『…』



ギターを優しく撫でる彼の左指の爪はすごく短くて…ゴツゴツしてる…男の人の手だ…


楽器を弾いている人の手。


指が長くて細くて、ピアノの方がやってそうに見える。



「ね!名前は?
あたし、北高の2年、七塚 澪春!」


『…高校は去年、1年の最後で辞めた。
元…西高の汐留 冬汰』



辞めた…?


あ、だから私服…


真面目そうな彼がなんで…



『理由は色々あるし、お前には言わない。』



なんでだろう…

すっごく悲しそう…


さっきの優しい目がなくなって、どこか遠くをみつめる目をしてる。


どうして、こんなにも惹かれるの…?

どうして、こんなにも気になるの?



『お前はさ…空の上ってなんだと思う?』




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