たとえ、涙が頬を濡らしても。



会う度に、冬汰を好きになっていく。


冬汰の隣が1番、落ち着くんだ。



『澪春…』


「ん?」


『やっぱいいや』


「え、何?気になるじゃん。」


『もう足、大丈夫か?』



冬汰はあたしの足をみつめた。


言いたかったこと、絶対その事じゃないくせに。


膝下のスカートを膝が見えるまでちらっとめくって見せてみた。


大きな絆創膏が見えて恥ずかしい…



「足首は大丈夫だよ!
膝ももう治りかけてるからさ」


『自転車、痛くなかった?』


「ちょっとね?
でも、大丈夫」



そう笑ってみせると冬汰は困ってしまった。



『まぁ、大丈夫ならいいけど。』


「心配、ありがとね」



優しいな…冬汰は。


俊稀なんて『唾つけとけば治るだろ』って言うし。


その分、あいつが怪我したら絆創膏貼ってあげるのあたしなのに。



『さて、今日は帰るか。』


「ごめんね、寝ちゃって」


『気にしてない。
気を付けて帰れよ?』


「うん。
また明日ね!」



ギターを背負って歩いていく背中に手を振った。


冬汰に明日も会える。


明日は何、着ていこうかなー!



そんなことを思いながら、自転車を漕いだ。





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