たとえ、涙が頬を濡らしても。



自転車で帰る途中、前の方に俊稀の後ろ姿が見えた。


きっと、部活帰りだ…


き、気まずい…けど!



「俊稀!!」



あたしの大きな声に肩をビクッとさせた俊稀…


俊稀の隣で自転車を降りて隣を歩く。



「えっと…『ごめん』


「え?」


『勢いでその…キス…』


「怒ってないって言ったら、嘘になる。
けど、気まずくなるのが嫌。」



キスぐらい…って言えたらいいけど。


ファーストキスは好きな人としたかった。


冬汰…と…って、想像しただけでダメだ。

キスは付き合ってからするものだもん。



『澪春があいつのこと好きなの知ってた。』


「…」


『今でもあいつのことより、俺を見てほしいって思うよ』




俊稀…




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