たとえ、涙が頬を濡らしても。
俊稀のこと、そんな目で見たことなかった。
まさか、そう見られてるなんて思いもしなかった。
すると、俊稀は立ち止まって、肩を震わせた。
『だってあいつは!!
あいつは……もう…』
「冬汰が何?」
『…っ。
あいつと違って俺はお前をもう泣かせねぇ。』
こんな感情的な俊稀は初めてだ。
いつもどうでもいいことばっかり考えて、冗談を言ってみんなを笑わせたりしているのに。
どうして冬汰のことになると…
「待って。意味が分からない!
この前も冬汰のこと何か黙ったじゃん!」
『お前は何も知らねぇから…』
「…っ」
『黙って俺にしとけよ…』
俊稀はいったい冬汰の何を知ってるっていうの?
私に言えない、大きな秘密があるの?
ねぇ…教えてよ。
「私は冬汰が好き…
何があっても、それは変わらない。」
『俺とあいつ、何がそんなに違うんだよ!』
「うるさい!!もう黙ってよ…」
俊稀を置いて、自転車に乗って家まで飛ばす。
仲直りするつもりだったのに。
なんで…
なんで、なんで…