たとえ、涙が頬を濡らしても。




でも、もったいないなー。

せっかく賢いのに、夢を作らないなんて。



『で、絵の方はどう?』


「だいぶ、決まってきたよ。
もう来週には色塗りに入るの予定!」


『へー、出来たら見せろよな』


「えー。恥ずかしい…」



見せなきゃ…伝わらないんだけど。


あたしの気持ちをしっかり、伝えるためには絵を見てもらうしかないんだ。


だから、来週が本番。


もう既に、塗り終える人も多いはずだ。


少し遅れをとっている分早く取り返したいけど、最後まで先走りたくはない。


ゆっくり、慎重に…冬汰に想いが届くように。



『ま、気長に待つけどさ。
ところで、あいつとどうなの?』


「俊稀のこと?なんで?」


『夏祭り、一緒に行ったのってあいつなんだろう』



数学のワークを机の上に置いて、真っ直ぐあたしをみつめた。


なんで分かったんだろ…



「うん…
ちょっと色々合って、昨日冬汰と別れた後たまたま会ってそこで話したけど…仲直りできなかった。」


『…そっか。』


「ねぇ…」


『ん?』





「冬汰はどこにも…行かないよね?」





…──────





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