たとえ、涙が頬を濡らしても。
─冬汰 side─
恐れていたことが起こってしまった…
いつも発作は夜だろ…!
昼間になんて…なかったのに。
これじゃ澪春に隠しきれなくなるじゃねーかよ…
今にも泣き出してしまいそうな澪春の顔。
そんな顔、させたくねぇんだよ。
笑っててくれよ…ただ、俺の側で。
それだけで、満たされるのに。
『ただの喘息発作だ。
まだ、全然軽い方だから…泣くなよな』
軽い方…
まだ、横に慣れる小発作だ。
だけど、だんだん発作を起こす回数が多くなってきている。
呼吸不全…いつ起こってもおかしくねぇな。
薬なんかもう…半年以上呑んでない。
寿命を告げられた時点でもう、死は確定している。
なら…時間に身を任せる。そう決めた。
『ばーか、俺はどこにも行かねぇよ』
無理やり笑って、泣きそうな澪春の頭を優しく撫でる。
楓みたいな思い、させたくねぇんだよ。
笑ってくれよ。