たとえ、涙が頬を濡らしても。
でも、当然今までそんなに恋愛には興味がなくて…
少し、カッコいいな…って思った人には彼女がいて。
この人、優しいな…って思った人は女の子みんなに優しくて。
いつしか、異性に興味が無くなっていた。
依知花はモテモテだから、依知花のことをよく見ている男子は多かった。
別に羨ましいだなんて、思ってなかったけど。
いつか、自分も誰かを本気で好きになる日が来るのかな…って、ずっと思っていた。
だから自然と“もしも、彼氏が出来たら”ってことを考えたことはある。
「食べ歩きデートとか…パンケーキとか…水族館とかかな」
『女子だな』
「な!女子だよ!!」
『ははっ、で…したことあるの?』
「…ないよ。そんなの。
彼氏なんか居たことないし。」
『…なら、誘っていい?』
…─────え?
今なんて。
えっ?