たとえ、涙が頬を濡らしても。
1番上にはテーマが書かれていた。
【大切な人に伝えたい気持ち】と。
その下には
「冬汰が好き…この気持ちをどう伝えるか。」
と。
他にもたくさん独り言のような文字が綴られていて…
澪春が…俺のことを?
そんな…
「とう…た…好き」
『えっ』
…寝言?
そういやこの前も俺の名前…
なぁ、澪春……
『っ……死にたくねぇよ…』
なぁ…お前はなんで俺を…
俺は澪春が毎日笑ってくれるように、俺は自分の気持ちを閉じ込めた。
伝えると、絶対に澪春の笑顔が作り笑いになってしまう。
だから…俺自身も笑って生きるために自分の気持ちを犠牲にした。
澪春…
いっぱい嘘付いて…ごめん。
俺は澪春の絵を目に焼き付けるようにもう一度しっかり見た。
そっとスケッチブックに挟んでバックに戻して、澪春の頬に触れる…
これが澪春に会う最後かも知れねぇ…
澪春に触れられる最後かも知れねぇ…
もう…明日が恐いんだ。
勝手な俺を許してくれ…────
お前の気持ちが知れて…俺は幸せだ。
『…澪春…好きだ。』
そう小さく呟いて、澪春の唇に優しく最初で最後のキスをした。
─冬汰 side end─