たとえ、涙が頬を濡らしても。
…──────
どれぐらい眠ってしまっただろうか…
ゆっくり目を開けると、冬汰はあたしの頬にそっと手を触れた。
「冬汰…泣いてた?」
『…んなわけ』
「ははっ、あたしには隠さないでよ」
冬汰の目…ちょっと赤くなってる。
何か嫌なことでもあったのかな…
『なんでもねぇよ』
「変に強がらないでよ…」
『…』
ゆっくり起き上がって、泣きそうな冬汰をぎゅっと抱きしめた。
そんな顔しないでよ…
「泣いてもいいんだよ?」
『バカ…泣かねぇ』
抱きしめる力を緩めて、冬汰の顔を見る。
ち、近い…
あたしなんて大胆な行動取ったの!?
自分が咄嗟にした行動に笑ってしまう…
「ははっ、あ、絵なんだけど…
明日には完成するよ!
95%完成してるんだけど…あとちょっとアレンジしたくってさ」
まぁ…微調整なんだけど。
絵って、1日経って改めて見ると前日とは全く違う視点で見えてしまう。
まだ…まだアレンジ出来るって。
後、見られたら恥ずかしい画用紙裏の雑で汚い字を消さないと…
絵のテーマや冬汰の好きなところ、この絵に詰め込みたいありったけの想いを綴ったあたしの恥ずかしいラブレター的文章を書いてしまっている。
絵が完成したら…改めて正式なラブレターを書いてちゃんと告白する。
だから明日も会いたい。
『なら…明日も来るよ』
「うん!
…恥ずかしいけど…絶対に完成した絵持ってくるから!」
『あぁ』