たとえ、涙が頬を濡らしても。





…────────



よし、これでいい!!


絵の具が乾いた画用紙を持ってくるくる回る。


やっと…やっと満足のいく作品が完成した。


早く冬汰に見せたい…!!


でも…なんて告白したら…


単純に「冬汰が好き」って?

「好きです、付き合ってください!」って?



「あぁ、わかんない!」



手紙で告白するつもりが、やっぱり自分の口で伝えたいな…って思ってはいるけど!


好きを伝えるために、絵の中では手紙にしただけあって…



改めて、人に告白することの難しさと緊張を知る。


なんで好きなのに、この“好き”のたった2文字を口にするのにこんなにも時間がかかるんだろう。


好きなら好きって早く言えばいいじゃん!

って、中学の頃の友達に対して思っていた次期があった自分を殴りたい…。



だけど、恋をして気付いたことはいつも何をしていても頭の端では冬汰のことを考えていた。


笑ってくれた笑顔とか

意地悪そうに笑った顔とか

少し寂しそうな顔とか…


今頃、冬汰は何をしているのかな?とか。


そう考えるとね、どんなに絵が進まなくても、俊稀と仲直りできなくて凹んでいた時も、ちょっと笑顔になれたんだよ。


冬汰にせっかく会えたのに寝ちゃったのは、会えたことに安心して、心を許しているからこそ出来たことだったんだと思う。


ギター…また弾いてほしいな。

寝る前に聴きたい…


側に居たい…

居させてよ。





< 133 / 241 >

この作品をシェア

pagetop