たとえ、涙が頬を濡らしても。



兄貴が死んだ後、俺はすぐに家に戻って兄貴の部屋に入った。


机の上には4枚の手紙が置かれていた…


父さん、母さんへ

夏翔へ

楓へ

澪春へ


そう封筒に書かれていた。


はぁ?


ふざけんなよ…


恐る恐る自分の名前が書かれていた手紙を取って開ける。




…──────


夏翔へ


こんな兄貴でごめんな。生まれつき、身体が悪い俺のせいでお前に迷惑いっぱいかけたよな。また、…いや、これが最後の迷惑であってお願いだ。近くの堤防にスケッチブックを持った澪春っていう女の子がいる。その子に会ってやってくれ。そして一緒に置いてる手紙を渡して欲しい。俺からのこれが最後のお願いだ。頼む。
夏翔、お前はちゃんと高校卒業しろよ?高一なんてこれから楽しいことあんだろ。親にも楓までもが心配してる。楓のことも、ちょっと見てやってくれたら嬉しい。あいつ、俺のことばっかだったからさ。ほんと、お前には迷惑かけっぱなしだな。お前には明日がある。だから、今を大事に生きろ。


冬汰


…───────



そう、書かれていた。


まさか、今日会うなんて思ってなかったけど…




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