たとえ、涙が頬を濡らしても。




澪春って人に会って、手紙を渡す。


これで兄貴からの最後の頼みは終わる。



『兄貴からの澪春さん宛の手紙』



ポケットから出して渡すと、澪春さんは震えた手でそれを受け取った…



「完成した絵…見せるって…ひくっ…言った…のに…ひくっ」


『絵?』


「冬汰ぁぁぁー…」



俺の腕を掴んで泣きじゃくる澪春さんを気付いたら何故か抱きしめていた…


胸の中で大声を出して泣く澪春さん…


兄貴の事だ。

どうせ、病気のこと何も言ってないんだろ。


高校に通ってた時も、友達一人すら作らずに居た。

『どうせ死ぬから、一人でいい』って。


いつしか、そんな兄貴がギターを持って、帰ってくるとちょっと楽しそうな顔をしていた。

きっとそれは、この人のお陰なんだろう…



何、勝手に死んでんだよ…!!


こんなにも兄貴を想ってくれている人がいるのに。




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