たとえ、涙が頬を濡らしても。



静かな公園のベンチで、泣き崩れていたあたしの背中を摩ってくれている弟くん。



「もう、大丈夫…
ごめんね…いっぱい迷惑かけて」


『別に。迷惑じゃねぇよ…』


「あたしね、今日冬汰に告白するつもりだったの」


『えっ?』



そりゃ、驚くよね…


冬汰にどうやって告白しようかひたすら、家を出るまで考えてたんだもん。


結局、シンプルに「好き」っと言う以外出てこなくて…



「昨日、絵を完成させてたら良かったのかな…
明日が当たり前に来るって…そう思ってた」


『兄貴にとって明日は、死と隣り合わせだったよ』


「えっ…」


『死ぬの早すぎなんだよ…
去年の秋、持って来年の10月までだって…
でもいつ様態が急変してもおかしくねぇって…』


「冬汰が高校辞めた理由…って」



寿命…?


そんな…


病気だなんて一言も冬汰言ってなかった…



『親には普通の日常を送らせて、家で兄貴は度々発作を起こしてた。
楓が面倒を見ていてくれたから良かったけど』


かえで?



『昨日の夜、楓から電話がかかってきてすぐ病院に駆けつけた。
けど、着いてすぐ…息を引き取ったよ。』



「…っはぁ…はぁ」



頭が追いつかなくて息が上がってフラフラする。



『澪春さん…!!』



またあたしの背中を摩ってくれた。


恐かったよね…

辛かったよね…

苦しかったよね…



ダメだ…


意識が朦朧としてきた…



冬汰…




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