たとえ、涙が頬を濡らしても。
うぅん。ダメだ。
そんなこと考えちゃ…
1階に降りて、洗面所をお借りして顔を洗う。
ほんと、ひどい顔…
夏翔くんにも、いっぱい迷惑かけすぎた。
冬汰がいない現実がなかなか受け入れられない。
だって、2日前まで一緒に居たのに…
触れられていたのに…
もう二度と会えなくて、話せなくて、触れられなくて…
そんなの嫌だ。
『澪春さん、ご飯の支度できたよ?』
「あ、ごめん。今行く」
また、泣きそうになった。
タオルを借りて顔を拭いてリビングに行くと、テーブルの上にはご飯にお味噌汁に焼き鮭が用意されていた。
『ほら、冷めねぇうちに』
「ありがとう」
椅子に座って手を合わせて合掌し、お味噌汁を口に運ぶ…
「冬汰は、ご飯…ちゃんと食べれてなかったのかな…」
『ここ最近は食べてなかった気がする。
食べても、吐いたりしてたから…』
「そっか…」
そっか…
冬汰にとって、あたしの当たり前は当たり前じゃなかった。
毎日、3食食べたり、学校に行って授業を受けたり、友達と話したり、時には遊びに出かけたり…
今日できないことは、また明日って軽々しく言ってた自分が憎い…
絵だって、明日にしなければ!
明日にしなきゃ…見せられたのに。
『澪春さん、また泣いて…』
「ごめん…ごめんね」
ご飯を口に運ぶけれど、涙が止まらない…
ごめんね、冬汰…夏翔くん。
泣いてばっかりで…