たとえ、涙が頬を濡らしても。
『澪春、授業終わったぞ?』
「澪春ちゃん、お昼だよ?」
「…へ?あ、チャイム鳴ってたんだ。」
隣の席の俊稀が自分の机をあたしの机にくっ付けて、ドカッと座るとあたしの頬を引っ張った。
「ちょ…しゅんき、いひゃいって」
『お前が凹んでると、俺らまでテンション下がるんだけど?』
「ちょっと、俊稀くん!」
依知花が頬を膨らませて怒ると、俊稀はあたしの頬から手を離した。
少しヒリヒリする頬…
うぅん。
俊稀の言う通りなんだ。
「ごめん…」
「あ、澪春ちゃん!
今日は久しぶりに放課後、クッキー作ろうよ!?」
『はぁ!?澪春、今日放課後、俺の練習見に来いよ!』
「…依知花が先に言ってくれたから、依知花が優先かな」
『なっ、くっそ〜…!!
じゃ、明日は見に来いよ!』
「うん…」
2人とも、あたしを元気付けようとしてくれている。
だからいつまでも、うじうじ泣いていられない。
こんなに泣いたら冬汰、怒るかな…