たとえ、涙が頬を濡らしても。
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放課後になり、俊稀は部活に行き、あたしと依知花は調理室でクッキーの材料計りをしている。
クッキーなんて、作ったところで誰に渡す目的ももうないんだけどね。
「依知花は白川くんとどうなの?」
「うーん、全然かな?
まだまだ、距離を縮める途中だよ?」
「そっか」
依知花なら案外すぐに告白してもOK貰えそうなのに。
なんで慎重なんだろ。
…アレ
あたし、皮肉なこと言ってる?
依知花の恋を応援しているに…
「澪春ちゃん…辛い時に側に居てあげれなくてごめんね」
「なんで依知花が謝るの?」
「冬汰くんのこと、私全然知らなくて…俊稀くんから話…聞いちゃったの。」
そういうことか。
依知花は白川くんのことを話すときにいつものキラキラしていたから、あたしのことは話せずにいた。
そのまま夏休みを挟んじゃったもんね…
でも、それって悪いのあたしじゃん。
あたしが依知花に話さなかったから…
「澪春ちゃん、本当にごめん…」
「うぅん。
悪いのはあたしのだ。依知花じゃないよ。」
「でも…」
「黙ってたあたしが悪いし、何も言ってなくて勝手に凹んで…2人の空気乱して…」
…バカだ。
冬汰のことにいっぱいいっぱいで、いつしか依知花とも俊稀との距離も考えてなかった。
「うぅん。そんなに自分を責めないでよ。
私には冬汰くんのこと何も言う資格ないから言えないけど…澪春ちゃんが謝ることない!」
「依知花…」
「ほら、クッキー作って冬汰くんにあげてきなよ?
お供えがてらに、冬汰くんに会って話してきなよ!」
「…うん」
お供え…か。