たとえ、涙が頬を濡らしても。
確か、依知花と一緒に作ったクッキーをあげた日、
『澪春が1から作ったクッキーが食べたい』
って、あの日言ってくれたよね。
結局、作ってあげられなかったね…
ごめんね…遅くなったけど、今からでもいいかな?
「依知花、生地作りからあたしに教えて?」
「うん!!」
依知花はさっきと違って、目を大きく開いて頷いてくれた。
髪をキュッと後ろでひとつに束ねて、三角巾を付けてエプロンを付けて、にっこり笑った。
「澪春ちゃんも、早くエプロン着て三角巾!」
「え?あたしもするの!?」
「澪春ちゃんがしないでどうするの?
ほら、早く早く!」
依知花にされるがままエプロンと三角巾を付ける…
まさに調理実習の格好じゃん…
「まずはさっき測った、薄力粉とお砂糖をこのボウルに振るい入れて!」
「うん…」