たとえ、涙が頬を濡らしても。
もう冬汰に「また、明日ね!」って言えない。
でも、冬汰にとっては「また、明日」って言葉が嫌いだったのかもしれない。
だからいつも、振り返ったり手を振ってくれたりしてくれなかったんだ。
本当に、知らなさすぎだ。
それで「好き」だなんて…
好きになればなるほど、もっと冬汰を知りたくて。
それも日に日に分かるだろう…
徐々にゆっくり知っていこう!って考えてた。
…本当にバカだ。
いくら後悔をしても、もう二度とあの日に戻れないのに。
『こんなにも想ってくれる人がいるって、すげー兄貴は幸せだな…』
「…」
『手紙、読んでみろよ?』
「でも…」
『大丈夫だから』
夏翔くんの優しい声に背中を押され、バックから手紙を取り出す。
澪春へ
そう書かれた封筒を持つとやっぱり、まだ手が震えてしまう。
『大丈夫。大丈夫だから』
優しくあたしの背中をポンポンと叩いてくれて、なんとか震えを止めようとした。
ここに、冬汰の気持ちが入ってるんだよね。
ゆっくり、気持ちを落ち着かせて手紙を開けた。