たとえ、涙が頬を濡らしても。
あたしは冬汰に何が出来た?
何もしてないじゃん!
何も…これ一つも!!
堤防で会えても、ずっと絵を隣で描いていただけだ。
なのに、なんで冬汰はあたしのことを…
「…ごめ『これって、澪春さんのだったんだ』
「今日は帰る」そう言いかけた時。
「へ?」
あたしのバックからクッキーを取った夏翔くん。
『この水色のラッピング、前に兄貴が大事に持ってたよ』
「…」
『一つくれって言っても、これはダメってくれなかった』
なんで…?
『好きなひとからのクッキーだったなら、そりゃあげられねーわな』
「…そのクッキーは友達と作ったんだけど、今日のはあたしの1からの手作りなんだ」
『?』
「冬汰があたしの1からの手作りクッキーが食べたいって前に言われて…
でも、こんなにも遅くなっちゃった」
冬汰の手紙を封筒に閉まって、胸に当てる…
ごめんね。
何もしてあげれなくて。
自分の絵に必死すぎた…
もっと冬汰との時間を大事にしていれば。
ダメだ…たくさんの後悔が溢れるよ。
「もっと…冬汰と話したかった」
『うん』
「もっと…傍に居たかった」
『うん』
「もっと…触れたかった、触れてほしかった…、抱きしめたかった」
『…』
「いくら泣いても泣いても、涙…止まらないや」
『…っ、ほんと、見てらんねー…』
グイッと夏翔くんに引き寄せられて、胸元で泣いた…
「ごめんね…夏翔くん」
『バカ…夏翔でいいって…
てか、謝んじゃねーよ』
「…ひくっ…」
頭をポンポン撫でてくれて、ぎゅっと抱きしめてくれる夏翔…
ほんと…情けない。
夏翔は冬汰じゃないのに…
なんで夏翔の温もりに安心するの?