たとえ、涙が頬を濡らしても。



もうそろそろ笑わなきゃ、冬汰が怒るだろうな…


それに泣きたいのはずっと、冬汰の方だった。


一人で泣いてたのかな?


あたしに嘘を付くのも辛かったのかな。


俊稀もそうだった。


冬汰が亡くなった二日後にたまたま俊稀に会って、俊稀の顔を見た瞬間泣いてしまった。


『ごめんな…言えなくて。
澪春がコンテストの絵に真剣になって頑張れている理由があいつだったから…どうしてもいえなくて』


って、俊稀は言った。


俊稀が言えなかった理由も。

冬汰が空に手を伸ばしていた理由も。

悲しそうな顔をしていた理由も。


わかった今は、どうしようも出来ない自分にイライラする。




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