たとえ、涙が頬を濡らしても。
⇒好きという気持ち。
9月下旬、少しずつ夏の気温から秋の気温へと移り変わる9月。
長袖のカッターシャツに紺色のベストを着て歩く人が増える。
あたしもその中の一人なわけで…
これと言って気分も上がらず、ただボーッとする毎日が続いていた。
放課後に俊稀の練習に付き合ってはいても、上手く笑えなくて…
この場にいる意味があるのかな?って思ってしまう。
『澪春』
「ん?」
すること俊稀は自分のスポーツバッグからウインドブレーカーを取り出して、あたしの肩に掛けてくれた。
『動いてないし、ちょっと肌寒いだろ?』
「ありがとう…」
隣に腰を降ろす俊稀の首筋にはほんのり汗が光っていた。
『…大丈夫か?』
「…」
『って、大丈夫な分けないよな』
もう、絵も描くことはないし。
堤防に行くことも少なくなってきた。
やることがない。
何に関してもやる気が出ない。
そんな毎日が続いていた。