たとえ、涙が頬を濡らしても。
ー俊稀 sideー
放課後、澪春を部活の練習に誘う日々が続いているけど、いつも澪春の目は遠くの空をみつめている。
俺が跳べても喜んでも、澪春はハッと俺に気付いて頑張って笑ってくれる。
もう、そんな澪春を見るのが辛い…
依知花も澪春を元気付けようと頑張ってくれているけど…
『もうそろそろ、一ヶ月…か』
「明日でちょうど一ヶ月」
好きな人を亡くしてからの一ヶ月は、きっとものすごく長かったよな。
俺は、澪春が死んだらどうするだろう…
そんなことを考えただけで怖くなった。
そんな中、澪春は毎日ちゃんと学校に来ている。
それだけでも十分すごい。
俺ならたぶん…学校なんて行けないだろう。
死んでしまったらもう二度と会えなくて、話せなくて…
いずれ、声も忘れてしまうって聞く。
そんなの…辛すぎるだろ。