たとえ、涙が頬を濡らしても。
⇒嘘にウソを重ねて。
今日は約束通り、放課後に俊稀の棒高跳び練習を見ながら絵を描いていく…
でも全然いい案が思い浮かばなくて、一向にスケッチが進まない。
「ねぇ、空の上ってなんだと思う?」
『…は?澪春、急にどうした?』
「へ?あ、いやいや…ごめん」
何を言ってるんだあたしは…!!
こんな変な質問。
それにしても普通、聞かないよね。
昨日、冬汰に会ってからずっと冬汰の表情が頭から離れなくて…
笑ってくれたのに、その笑顔の記憶が薄れているぐらいだ。
『でも、空の上って天国ってよく聞くけど…』
「天国…」
もしかして、ギターを下さった恩師…的な方が亡くなった…とか?
それであんな質問したなら、何となく辻褄が合うような〜…
んー!!わからない!!
ショートヘアの髪を掻き上げて首を横に振る。
『まぁ、とりあえずこれでも飲めよ』
そう言って俊稀が飲んだアクエリを渡された。
「うん…って、俊稀の飲みさし…」
『そんなに俺との間接キスが嫌?
俺、けっこうショックなんだけどなー。』
棒高跳びのマットへダイブしてくるくる身体を回す俊稀。
いや、嫌じゃないけど…
「ごめんって!
なんか心配かけちゃったね?」
『今日ずっと澪春、上の空だったじゃん』
なぜかムッとして、こっちを見る俊稀…
なんでちょっと怒ってるの?