たとえ、涙が頬を濡らしても。
あいつを越えてやるからさ…か。
あたしはいつ、俊稀の気持ちに答えられるだろうね。
ねぇ、冬汰
ちゃんとあたしを見てる?
もう、どうしたらいいかわかんないよ。
心の中で、空に話しかける。
答えなんてもちろん、返ってこない。
『コンテストにまだエントリーしてないのか?』
「うん…迷ってる」
もう、あたしからしたら役目を終えてしまった絵。
冬汰が絵を見てくれてた。
気持ちを伝えることが出来た。
ならもう、出さなくてもいいんじゃないかなって思ってる。
『あいつは出してほしいんじゃないか?』
「…でも」
『澪春が初めてコンテストに出そうと思わせてくれたのに、そのきっかけをくれたあいつを裏切れるのか?』
確かにそうだ。
冬汰はあたしに大きなきっかけをくれた。
裏切るなんて…できない
「できない…」
『なら、出せよ?
エントリー、もうすぐ締め切りなんだろ』
「うん。」
『それに、また絵…書いてよ?』
…絵。