たとえ、涙が頬を濡らしても。
…
ごめんね
俊稀…────
「ずっと前から知ってたよ…だけど」
…今のあたしじゃダメだよ。
今でもずっとずっと、冬汰が好き。
もう会えないのはわかってる。
だけど、そんな簡単にこの気持ちを失いなくないの!
冬汰との思い出が頭を過る。
初めて会った日
あの雨の日
最後に会った日…───
あたしに恋をさせてくれたのは冬汰なんだ。
『でも、澪春の返事はいい。
俺なりに、澪春のことちゃんと見守ってるからさ…
だから…好きでいさせてよ』
抱き締められたまま、くるっと回って、俊稀があたしに覆いかぶさってきた。
なんで…泣いてるの?
俊稀の涙があたしの頬に流れた…
「俊稀…?」
『なんで俺…泣いて…』
「バカ…
俊稀の好きにしていいよ。」
『澪春…』
「あたしも、俊稀に迷惑かけないようにするから…だから、そばにいて」
わがままでごめん。
俊稀の気持ちに答えるには時間がかかる。