たとえ、涙が頬を濡らしても。



部活の片付けが終わって、二人で自転車を漕ぎ、少し前を走る俊稀の背中をずっとみつめる…


久しぶりだ。


俊稀と二人で学校から帰るのは…。


冬汰と会って、冬汰に会いたくて堪らなかったあたしは、いつしか依知花と俊稀との距離が開いていることさえ、気付かなかった。


そう。

あたしの瞳には…冬汰しか映っていなかったんだ。


冬汰が全てだったんだ。


その大きな存在が目の前から消えて、たくさんたくさん泣いた。


涙が枯れるまで…っていうけど、本当に涙が出なくなるぐらいに泣いた。


でも…可笑しいの。


次の日になれば、まだまだ涙が溢れる。


ねぇ冬汰…どうすればいい?




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