たとえ、涙が頬を濡らしても。
⇒それぞれの思い。
ー楓 sideー
季節は10月に入った。
だけど、私の中にある季節は8月下旬で止まっている。
冬汰が居た8月。
冬汰が居なくなった8月。
ただただ、生きるのが辛かったこの2ヶ月。
「死にたい」だなんて思った。
けど…それはできない。
冬汰からの手紙にたくさん涙した。
何もできなかった私に、冬汰はたくさんありがとうって言ってくれた。
気持ちに答えられなくてごめんって。
でも楓には絶対、俺より良い男と幸せになるだろうって…
だから、楓らしくまっすぐ生きろって。
「会いたいよ…冬汰」
「楓、休憩終わるよー!」
「あ、うん、今行く!」
冬汰と一緒に居た時間が無くなって、その代わりに部活に励んだ。
冬汰に一生懸命だった分、部活に一生懸命になればちょっとは楽かな…って。
でも…全然 楽にならないよ。